久保田一竹美術館(富士河口湖町)
久保田一竹美術館は、1994年(平成6年)に開館した、染色家の久保田一竹の「一竹辻が花」の作品を常設展示する美術館です。
久保田一竹は、江戸時代初期に忽然と姿を消した染色技法「辻が花」の美しさに魅せられ、その復刻に全力を注ぎ、長年の研究の末に独自の技法を創案。「一竹辻が花」として、現代に蘇らせました。
東京から河口湖に向かう車中、突然姿を現した雄大な富士山の姿に、創作意欲が沸々と湧き上がるのを感じ、自分の美術館を建設するなら、ぜひこの地に、と建設が決まったそうです。
作品だけでなく、庭や建物、調度品の配置に至るまで、一竹本人が手掛けているというこの美術館は、かつてミシュラン観光ガイドの三ツ星を獲得しています。
インドの古城に使われていたという正門を入ると、赤松や楓が生い茂る小径へと続きます。
小径を上がると、スペイン風の新館に着きます。新館は、琉球石灰岩でできているそうです。
新館のなかには、アフリカや、インドのアンティーク家具、また、一竹がコレクションした蜻蛉玉(とんぼだま)が展示され、様々なオリジナル製品を揃えたショップがあります。
新館を抜け、更に石段を上ると、樹齢1000年を超えるヒバの木16本を使用して組み立てられたという本館に着きます。
ここまでの世界観は、アジアン、スペイン、アフリカと実に多国籍ですが、不思議な一体感があります。
さらに本館に入ると、時代も国境も超え、一気に幽玄な世界へと誘われます。
富士山をテーマにした作品や、未完の大作「光響(こうきょう)」という連作が、吹き抜けの舞台のような空間に展示されています。
スタッフの方に伺ったところ、一竹の描く富士山は全て、山梨側から、そして、冠雪の季節のものだそうです。
紹介ビデオ(15分ほど)を鑑賞してから、作品を観ると、一枚一枚の着物が、なお一層胸に迫ってきます。
この美術館には、一竹本人の作品を104点所蔵しているそうですが、海外展示で貸し出したり、年に数回入れ替えをしているので、その時のタイミングで、出会える作品も違います。
国内には、ほとんど貸し出さないので、一竹辻が花を観たければ、この美術館に来るしかないと言います。
この自然、建物、作品が一体となっているこの世界観のなかで、作品を鑑賞するのが一番だと思います。
展示室の奥には、茶房「一竹庵」があり、庭を眺めながら、抹茶など頂けます。
久保田一竹美術館[web]
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町河口2255[地図を見る]
電話番号:0555-76-8111
開館時間:4月~11月 午前9時30分~午後5時30分、12月~3月 午前10時~午後4時30分
休館日:火曜日、12月26日~29日他
入館料:一般 1300円、大・高校生 900円、小・中学生400円
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