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県外

水族館「アクアパーク品川」と映画の感想 / 東京

水族館「アクアパーク品川」と映画の感想

数年前、夫の仕事の関係で東京に一時住んでいたときのこと。週末は山梨の実家に帰って庭の草取りやゴルフを楽しむことの多い夫でしたが、たまには東京で休日を過ごそうとネットでおでかけ情報を検索しました。

土日はどこに行っても混むんじゃないかと思いましたが、品川プリンスホテル内にある水族館の「アクアパーク品川」に行ってみることにしました。

宿泊や食事以外でホテルに出かけるなんて地元では考えられないような過ごし方で、なんだか数十年ぶりのデートのようでした。

まず、遅めの朝食をとった私たちは、いそいそと品川駅に向けて出発。品川の改札を出ると、品川プリンスホテルのほうに人の流れができていたので迷うことなくたどり着きました。幸いなことに日曜日にもかかわらず、すぐに入場できました。

アクアパーク品川の入り口を抜けると、目の前には光と音の幻想的な世界が広がり、まるで夢の世界に迷い込んだようでした。

その空間は、これまでの水族館のイメージとは全く違ったもので、都会の水族館はやっぱり違うねぇと、私と夫。暫く無言で館内を見回しました。館内には、二つのアトラクションもあり、遊園地のような乗り物に、子ども連れから若いカップルまで歓声をあげていました。

幻想的な水槽

メリーゴーランド「ドルフィンパーティー」

その様子を見るだけでも面白く、特にイルカやサメなど海の生き物に乗るメリーゴーランドは、本当に水の中を漂っているようでした。ただ、眺めているうちに徐々に目が回ってきたので、急いで次のコーナーに向かいます。

アクアパーク品川のおしゃれポイントは、お酒も飲めるカフェバーがあること。ハイネケンやスパークリングワインなどを飲みながら見学することもできるようでびっくりしました。

コーラルカフェバー

色々な種類のクラゲだけが泳いでいるコーナーもあり、色とりどりの光のなかで、面白い形のクラゲが独特のリズムで舞を舞う姿は、いつまで見ていても見飽きません。大きなマンタやエイが悠々と泳ぐ海中トンネルもあり、下から眺める魚たちのダイナミックな泳ぎに圧倒されてしまいました。

優雅に泳ぐナンヨウマンタ

水族館だけでも楽しめますが、なんと言っても面白いのはイルカショーです(アクアパーク品川では「ドルフィンパフォーマンス」と呼ばれています)。

私たちが会場に着いた時、開始40分前でしたが、すでに後部座席はほとんど満席。前のほうの席が空いているのは、どうやら元気なイルカたちがバシャバシャと水しぶきで歓迎してくれるらしく、そのための水除けのカッパも販売していました。

前の席のほうに座っているお客さんの多くは、幼稚園くらいのやんちゃそうな子ども連れの若いパパやママたち。そういえば、我が家の子どもたちも静岡の水族館でイルカショーを見たとき、最前列のほうで見たことがありました。水浸しになりながらも、それが面白くてみんなで笑い転げたなあと、当時を懐かしく思い出しました。

さすがにこの年で水浸しは嫌なので、二人で後ろのほうの空席を探していると、思いがけず若いカップルが席を詰めてくれ、私たちの為に二つ席を確保してくれました。こんなとき、都会の若者に親切にされると妙に身に沁みます。

ありがたくご厚意を受け、ちょうど前から6列目の良い席に、二人並んで座ることができました。

ショーが始まる前は、妙にワクワクして落ち着きません。還暦すぎると子どもに戻るのは、どうやら暦のことだけではないようです。売店で普段は絶対飲まないようなラムネまで買ってしまいました。

イルカショーは30分くらいだったでしょうか。リズム感のある音楽とともに天井から水蒸気のようなものが出て、ワクワク感を一層盛り上げてくれます。

天井から円を描いて落ちてくる水がイルカたちへの合図のようです。テンポのいいお姉さんのかけ声とともに、次々とジャンプするイルカたちの華麗な動き。そしてしばらく水面が静かになったなと思うと、とんでもないところからまた跳ね上がって見せ、その演出に釘付けになってしまいました。

勢いよく跳ね上がるイルカたち

会場の心もひとつにするかけ声

アクアパーク品川は夜もやっていて、昼と夜ではプログラムも違うとのこと。久しぶりにライブ会場に来たような高揚感を噛み締め、「面白かったねぇ」などと呟きながら会場をあとにしました。

品川プリンスホテルには、ボーリング場や映画館、プールもありました。わざわざ時間をかけて遠くまでお出かけしなくても、都会の楽しみ方は色々あるんだな、と実感。夕食までにはまだ時間があったので、私たちは映画館に寄ることにしました。


映画『引っ越し大名!』の感想

*以下、作品のネタバレが含まれています。

アクアパーク品川に行ったあと、夕食までにはまだ時間があったので、ホテル内の映画館に寄ることにしました。

東京の映画館に行くのは実に40年ぶり。それでも地元と同じ東宝系の映画館だったので、チケットの買い方は同じはず。でも、どの映画が空いているのか分からなかったことと、自動販売機で後ろの人を待たせるのも心苦しく、並んでいる人の列の後ろを二人でうろうろしながら、結局窓口で購入することにしました。

窓口の感じのいいお姉さんに空席状況を聞くと、待ち時間なく観れるのは『引っ越し大名!』とのこと。

夫のほうを振り返ると、うんうんと嬉しそうに頷いています。私は他に見たい映画があったのですが、そちらはもう一回待たなければならなかったので、すぐに入れる『引っ越し大名!』にしました。

待ち時間の間、売店でポップコーンとコーラを買うと、ひとり分の量の多さにびっくり。少し気恥ずかしさを感じながら、入場開始までしばらくエントランスの隅で待っていました。

開演10分前に入場し、真ん中より2、3席後ろの座席に座って映画が始まるまでのあいだポップコーンを食べ、コーラを飲み、これがまたとめどなく続きやめられません。そういえば、今日は朝食が遅かったのでお昼を食べていなかったなと気づき、始まる前に半分以上は食べてしまいました。

いよいよ映画が始まると、これがまた時代劇の割にテンポの良い展開で、なにより主役の星野源さん演じる引越し奉行「片桐春之介」の人となりにすっかり魅了され、思わず引き込まれていきます。

この映画は、実際に生涯7回も国替えをさせられた江戸時代の実在の大名がモデルになっています。会社の方針で突然の転勤も余儀なくされる現代のサラリーマン事情にも通じ、そんなところが夫にも興味を持たせたのかもしれません。

夫はテレビのロードショーで、『超高速! 参勤交代』を観てすっかりはまり『超高速! 参勤交代リターンズ』をわざわざ映画館まで観に行ったほど。どの映画にするか決めたとき、夫が『引っ越し大名!』に間髪入れずに頷いたのも無理からぬこと。


あとで調べたら、監督こそ違いましたが、原作は同じ作家さんでした。かくいう私も好きな俳優のひとり、高橋一生さんも出てきたので、いよいよ映画に入り込み、一緒になって笑い転げてしまいました。

面白かったのは、「引越し唄」のくだり。この唄、引越しの準備からいよいよ出発、道中と場面場面で歌われるのですが、星野源さん始め、高畑充希さんら登場人物みんなで歌って踊って士気を高めるというもので、歌詞もメロディーも馴染みやすく、なにより振付が滑稽で、時代劇なのに違和感がありません。

農民が農作業をするときの田植え唄などが現代に伝わっているように、お家の難事を家臣が共に乗り越えようと、皆の心をひとつにまとめるのに、もしかしたら実際にそんな唄が歌われていたのでは、と思わせてくれます。

それと、エンドロールで初めて知りましたが、振り付けは狂言師の野村萬斎さんでした。独特のリズムがあり、時代劇に違和感なく馴染むわけです。

お決まりの悪人も登場し、裏切りあり、恋愛あり、なんだかんだとあって結局最後は正義が勝つ、というシンプルですが、そんなストーリーは観ていてホッとします。

作中、特に感動したのは、国替えで領地が減らされたとき、家臣を減らさなければならなかった春の介の葛藤でした。リストラを余儀なくされた中間管理職の苦悩にも通じ、サラリーマン経験のない私にもその苦しさは伝わってきました。

そのときの春之介の決断と、その後15年を経て必ず呼び戻すという約束を果たした誠実さ。最後、農村から戻って来た同志と、途中、命を落とした人々の名前を刻んだ石碑を披露したくだりでは、本当にそんなこともあったのだろうと心打たれました。

夫はこの場面で、鼻をすすっていました。夫の会社でも、何年か前に大量リストラの時期があったのを思い出し、きっと色々な思いが交錯したのでしょう。私もしんみりしてしまいました。

観終わって、久しぶりに、「映画って本当にいいですねぇ」という言葉をしみじみ実感。映画の醍醐味を懐かしさとともに味わいました。

映画館を出ると、すっかり夕暮れどきになっていました。駅前の交差点を二人で雑踏をよけながら歩き、今日はやっぱり日本酒だよねと、品川駅の駅中にある「ぬる燗佐藤」というお店で、文字通りのぬる燗を一杯飲みながら軽い夕食をとって帰りました。

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なえ
山梨生まれ山梨育ちのおばちゃん(おばあちゃん)。セカンドライフ。地元山梨の色々な場所を巡りながら、美術館の感想やおすすめの情報、雑学などをブログに書いていきたいと思います。