御勅使南公園へ〜ひとりピクニック〜
日差しが春めいてきたある日、久しぶりにピクニックに行きたくなりました。
朝ごはんの残りをバスケットに詰め、コーヒーを沸かし、さてどこに行こうか、と。
車に乗ってから一人であれこれ考え、子供たちが小さい頃よく連れて行った御勅使南公園に行ってみることにしました。
ひとりピクニックの持ち物
- お弁当(パンとデコポン)
- 水筒2本(コーヒー、水)
- カメラ
- スマホ
- 敷物
甲府市の市街地を抜け、甲斐市に入り、信玄橋を渡ります。数日ぶりの晴天。橋からは富士山も八ヶ岳もすっきりとよく見えました。
国道52号線に入ると、まもなく公園入口に到着。
何年ぶりでしょうか。最後に来たのは、下の息子が小学校低学年だったので、もう20年以上も前です。
平日ですが、学校の長期休業で親子連れが訪れているのか、駐車場はそこそこ埋まっていました。
駐車場は管理事務所近くに三ヶ所あります。少し奥にある第二駐車場の方に車を停め、カメラだけ持って車を降りました。
売店もある管理事務所の脇を抜け、最初に遊戯広場に向かいました。
遊戯広場が近づくと、弾けるような子供たちの歓声が聞こえてきました。子供の声というのはいつ聞いても元気をもらえるなあと足取りも軽くなります。
御勅使南公園は、山梨県で一番遊具の数が多い公園。遊具と遊具のあいだも広いので、我が家の息子達も遊具から遊具へと駆け回って、時間も忘れて遊び呆けていたものです。
久しぶりの公園は、この20年の月日を経て、遊具の内容もまた彩りも随分変わりました。
そのなかでも目新しかったのは、ザイルクライミングという三角形をした遊具です。
ザイルクライミング
この遊具は青いロープで作られた山によじ登って遊ぶものですが、御勅使南公園のザッククライミングは高さが11mもあり、国内最大級と言われています。
女の子でもどんどん登っていきます。親の方がはらはらしながら見守る感じかもしれません。
てっぺんから眺める景色は一体どんなだろうと、私自身も親心を通り越しもっと遡って、自分が少女だったらあのてっぺんまで登ってみたかったなあと、ワクワクしながら眺めていました。
少し高くなっている丘の上には、ローラー滑り台があります。この滑り台には、出口がローラーと、チューブスライダーと二つあります。
男の子が、梯子でスタート台に上った後、どっちに行こうかなと迷っている様子。その光景に思わず昔を思い出し、顔もほころんできました。
公園には、若いパパやママだけでなく、たくさんのおじいちゃんおばあちゃんも孫と一緒に訪れていて、スマホでその姿を一生懸命撮影していました。
御勅使南公園には、昔ながらの鉄棒やブランコ、普通の滑り台や小さな幼児向けの遊具もたくさんあります。
遊具はだいぶ様変わりしましたが、子ども達が遊び興じる姿は今も昔も変わりません。
広場はほとんどが芝生で、周りには木々がたくさん植えられていて、自然もいっぱい。ここなら大人も子どもも一日いてもきっと飽きないだろうと思いました。
ひと通り遊戯広場をめぐり、しばらく眺めていましたが、お弁当を広げる親子もちらほら出てきたので、元来た道を駐車場の方へ戻りました。
途中、ラグビー場が二面ありました。公園のラグビー場は、公式大会やクラブチームの練習にも使われる本格的なグラウンドです。
ラグビーだけでなく、サッカーやグラウンドゴルフなどもできるそうで、見晴らしのいいグラウンドでのプレーはさぞかし気持ちいいだろうなあと思いました。
駐車場を反対の方に行くと、ハーブガーデンが見えてきます。何人かで、ハーブの植込みをしていました。
挨拶をしながら声をかけると、地域のボランティアの方たちでした。ハーブガーデンには約100種類のハーブが植えられていて、毎年5月にはフェスタをしているそうです。
*残念ながら新型コロナ感染拡大防止のため2020年は中止。
ハーブガーデンの隣には、徒渉池という夏限定の水遊びできる浅い池がありました。
水遊びする子ども達の大きな歓声が聞こえてきそうです。夏に向けて何か工事をしているようでした。
池はもうひとつあり、この池は4月から9月までの週末や休日限定。自然の川を模して流れを再現し、水が湧き出すようになっているようです。
所々にあるモニュメントが、芸術的な雰囲気を醸し出していました。
近くに河川敷もありますが、こちらの二つの池の方が親の目も行き届くし、水遊びをするなら安全かもしれません。近くにちょっとした遊具もあり、子どもの遊び心への心配りを感じました。
池の周りを巡ってクロスカントリーのコースに出ました。そこから御勅使川の土手に上がることができます。
こちらには、ほとんど人がいませんでした。たまに散策をしている老夫婦、ジョギングしている青年、ベンチでお弁当を広げている親子連れと、平日だからか滞在中数人の人たちとすれ違っただけでした。
土手からはクロスカントリーのコースが河原沿いに伸び、遠くには八ヶ岳がよく見え、その広々とした景色に、思わず声を出して深呼吸。
ここまで来たら、喉が乾き、お腹も少し空いてきたので、お弁当にしようとバスケットを持ちに一旦駐車場に戻りました。
時間も少しずれたからか、周りには誰もいません。あまり気遣うことなく、八ヶ岳と御勅使川が見える特等席のベンチに陣取りました。
朝食のパンの残りに、レタスと炒り卵とハムを詰め込んだサンドイッチと、デコポン、コーヒーの簡単ランチです。
ひとりだとこれで十分、こんな気軽さもひとりピクニックの楽しみのひとつです。
この席は桜の木の近くなので、桜の時期にはきっとさらに特等席になるでしょう。その時期また来てみたいなと思います。
ゆっくり昼食をとり、ゆっくりコーヒーを飲み、バスケットを置きに車に戻って、小さな水筒とスマホだけ持って、またクロスカントリーのコースに戻りました。
今度は、河原ではなく散策コースの赤松林を歩いてみました。この赤松林は造園ではなく、天然の林とのことで、久しぶりに「林」というのを体感しました。
陽の光が木々の合間からまだらにこぼれ、耳をすますと小鳥のさえずりが聞こえてきます。ここでもまた目を閉じて深呼吸をひとつしました。
目をそっと開け歩みを進めると、数メートル先に尾の長い大きくて綺麗な鳥が歩いています。オスの雉です。
驚かしてはいけないと思い、距離を保ちながらそっと撮影。山梨に生まれ育った私ですが、自然のなかで雉を見たのはこれが三回目です。
一回目は小学校の頃の千代田湖への遠足の時。二回目は大人になっってから、四尾連湖への道中。
そして今日で三回目、などと頭で数えながら遠くからその姿を映しました。
ちょっと分かりづらいですが、これがそのときの動画です。
思いがけない出会いに心踊りながら赤松林を抜けると、ストレッチコースが見えてきました。
大人のためのストレッチコースが芝生の上に並び、隣にはひとつだけ子ども用の遊具がありました。
簡単なものから少し挑戦が必要なものまで、11種類。近くに子どもを遊ばせる遊具があるところに親子で楽しむことができるようにとの心配りを感じました。
ストレッチコースの先を進むと、社会福祉村という総合福祉施設に通じる第三駐車場に出ました。
さらにその先を行くと、御勅使上橋に出ます。
御勅使川を挟んで、こちら側が南アルプス市、向こう側は韮崎市になります。御勅使南公園の河川敷の芝生広場は川の向こう側にも広がります。
橋を渡り反対側の土手から河川敷広場に降り、今度は韮崎市側から御勅使南公園を眺めました。つくづく広い公園です。
韮崎市側の土手の近くにも大きな施設が並んでいたのでよく見ると、支援学校や医療センターのようで、どうやら御勅使川を挟んだこの両岸に広がる一帯が社会福祉村の施設のようでした。
日頃の運動不足がたたったのか、ここまで歩くとちょっと疲れてきました。スマホの万歩計は優に10000歩を超えています。
お昼にバスケットを車に置きに行ったとき、小さな水筒だけ持ってきてよかった。まるで子どものようにゴクゴクと水を飲みました。
河川敷を上がり、橋の上から改めて御勅使川を眺めました。
川の流れがくねくねと曲がり、こうして見るとその昔、暴れ川と異名をとった蛇行する御勅使川の片鱗が伺えました。
さて、公園もここで終わりだろうと思うと、なんとか公園の端まで来た達成感があったのですが、橋のさらに向こうを覗くとどうやらその先にまだ公園らしきものが。
調べて見ると、ここから先は南アルプス市が運営する「御勅使福祉公園」のようです。
日が少し傾きかけています。疲れもピーク。流石にこの先はまた次の機会にしようと、一息ついて車のところまで、今度は寄り道をせずに駐車場までまっすぐ戻りました。
駐車場にはまだ車が何台もあり、遊戯広場から微かに子ども達の声がします。まだまだ遊び足りないのでしょう。
傾きかけた日差しと、背中に聞こえる微かな子どもの声に、少しだけ胸にこみ上げるものを感じながら公園を後にしました。