夏でも涼しい場所、山梨県の避暑地(穴場編)
甲府市と言うと、夏には気温の高さがニュースになることもあり、山梨県全体が夏は暑い県というイメージを持たれているかもしれません。
しかし、山梨県は結構涼しいところもある、ということで、前回の記事では、北杜市や富士五湖方面など、山梨県でおすすめの避暑地の定番スポットを紹介しています。
一方で、以前、山梨の定番の避暑地に行ったけど人が多く車も渋滞して大変だった、という人もいるかもしれません。
今回は、そんな風に人混みや渋滞を避けたいという人の為に、山梨県内で穴場の避暑地を紹介したいと思います。
どのスポットも、この夏の猛暑時でも気温は日中で平均30℃くらいで、朝晩になれば20、21℃くらいまで下がり、涼しい風も吹くことから、夏の避暑地としてぴったりです。
アクセスは、車のみになりますが、路線バスや最寄りJR駅からレンタカーを利用することもできます。
県東部、県境エリア
山梨県東部の埼玉、東京、神奈川との県境には、自然豊かな懐かしい里山が点在しています。
どの地域も、猛暑の今年は日中気温が多少高くなる日もあるものの、森の木々や渓流を渡る風はとても涼しく、散策をした後の汗を心地よく乾かしてくれます。
そのなかでも、温泉や道の駅などの観光施設もあり、東京から近い、比較的車でアクセスしやすい場所を紹介します。
①小菅村
小菅村は、東京都との県境にある人口720人ほどの村で、東京都の水源、多摩川源流の村です。
都心から小菅村に向かう場合、かつては東京都奥多摩町からのアクセスが主でしたが、現在は松姫トンネルが開通し、山梨県大月市(中央自動車道大月IC)からも車で30分ほどで行けるようになっています。
小菅村には、温泉施設の「多摩源流小菅の湯」があり、高アルカリ性の温泉は、お肌がつるつるになる美人の湯として人気があります。
小菅の湯の近くには、「道の駅こすげ」があり、石窯で焼くピザや小菅村特産の食材を使った食事が楽しめる「源流レストラン」などがあります。
また、自然の森を使ったアウトドアパーク「フォレストアドベンチャー」では、家族で一日自然を満喫しながらゆっくり遊ぶことができます。
多摩源流小菅の湯[web]
住所:山梨県北都留郡小菅村3445番地 電話番号:0428-87-0888
道の駅こすげ[web] 電話番号:0428-87-0020
フォレストアドベンチャー[web] 電話番号:080-4857-7406
アクセス:車 中央自動車道大月ICから30分、圏央道青梅ICから70分
電車 JR中央線大月駅から富士急山梨バス60分
JR青梅線奥多摩駅から西東京バス約50分
多摩川の源流である小菅川は、日本で初めてヤマメの養殖に成功した川で、現在も天然のニジマスやヤマメ、イワナなどが生息していることから、川釣りを楽しむ人々にとっては人気の釣り場になっています。
小菅村には、小菅川を利用した村営の釣り場「小菅村フィッシングビレッジ」などの釣り場が何か所かあり、初心者の放流釣りから本格的な渓流釣りまで体験することができます。
また、河原でバーベキューもできるので、清流のせせらぎを聴きながら、家族連れや仲間とアウトドアレジャーを楽しむには格好の場所です。
小菅村は、村をあげて小菅村のPR活動に取り組んでいます。
特に、「NPO法人多摩源流こすげ」では、季節ごとの小菅村の自然を満喫する体験プログラムを提供し、小菅村を国内外に広く発信しています。
また、穴場の避暑スポットとして、大月市から松姫バイパスで小菅村に向かう途中に「深城ダム」があります。
深城ダムは、大月市七保町の葛野川に建設されたダムで、ダムカードを配布しているダムです。
平日であれば、ダムの見学(9時~11時30分、13時~16時30分 所要時間は約1時間ほど)もでき、エレベーターで行く地下60mのダム底は、夏でもひんやりと涼しい場所となっています。
②丹波山村
丹波山村は、もう一つの多摩川源流の丹波川と、雲取山など奥秩父の山々に囲まれた地域で、人口587人の東京都、埼玉県との県境の村です。
丹波山村は、小菅村と同じく、温泉あり、釣り場あり、大自然の中で森林浴をしながら、涼を取ることができます。
道の駅たばやまを中心に、丹波山温泉 のめこい湯や村営つり場、ローラーすべり台など、子どもからお年寄りまで避暑をしながら楽しめる穴場のスポットがたくさんあります。
特に、「ローラーすべり台」は、全長247m、高低差42mあり、傾斜地の自然を生かしたすべり台で、平成2年完成当時には日本一の長さだったようです。
すべり台は、ボードに乗ってすべるので、おしりは痛くないとのこと。周囲の山々や丹波山渓谷を眺めながらすべるのは、子どもだけでなく、大人も十分楽しめそうです。
ただ、木々の間を縫ってすべっていくので、虫よけ対策はしていったほうがよいかもしれません。
料金は、小・中学生は200円、高校生以上は400円、何回すべってもこの金額です(小学生未満、身長90㎝以下の子どもは乗れません)
丹波山温泉のめこい湯も、美肌効果がある単純硫黄泉で、おふろ上がりはお肌がすべすべになります。ちなみに、「のめこい」とは、丹波山村の方言で「つるつる・すべすべ」という意味です。
また、丹波山村には「郷土民俗資料館」という木のぬくもりのある資料館があり、丹波山村に古くから伝わる祭や伝統行事を学ぶことができます。
道の駅たばやま[web]
住所:山梨県北都留郡丹波山村778番地の2 電話番号:0428-88-0411
丹波山温泉のめこい湯[web]電話番号:0428-88-0026
村営つり場[web]
住所:山梨県北都留郡丹波山村1225 電話番号:0428-88-0800
ローラーすべり台[web]
住所:山梨県北都留郡丹波山村437 電話番号:0428-88-0466
郷土民俗資料館[web]
住所:山梨県北都留郡丹波山村1063 電話番号:0428-88-0170
アクセス:車 中央自動車道大月ICから約60分 圏央道青梅ICから約90分
電車 JR青梅線奥多摩駅からバス約60分
③道志村
道志村は、神奈川県との県境にあり、神奈川県横浜市の水源の道志川沿いに広がる村です。
道志川沿いを通る、国道413号線(道志みち)には、たくさんのキャンプ場があり、道志村は「キャンプ場の聖地」でもあります。
そのなかでも定番の場所は、「道志の森キャンプ場」。ただし、キャンパーの間では物凄く有名なので、夏のピーク時はだいぶ混み合うようです。
その他、オートキャンプ場も含め、大小30以上の個性的なキャンプ場や、コテージ、民宿、旅館もあり、宿泊先を選ぶことができます。
道志村にも温泉があり、宿泊もできる「道志川温泉、紅椿の湯」と、横浜市民に優待割引がある日帰り温泉「道志の湯」があります。
道志の湯は、道志みちから少し外れた道志川の支流、室久保川の渓谷沿いにある温泉ですが、その先を少し行くと、「的様の滝」と呼ばれている神秘的な穴場の避暑スポットがあります。
的様とは、室久保川の川底にある一枚岩のことで、かつて源頼朝がこの岩を的に矢を射る訓練をした、という伝説が残っています。
この岩の下に、的様の滝があり、毎年4月にその年の豊作を占う祭礼の滝にもなっています。
興味深いことに、的様の滝以外にも、周辺には頼朝伝説の場所がたくさんあり、富士の麓で行った巻狩り(軍事訓練のための狩猟)の帰りに、道志村に立ち寄ったとされることに由来するようです。
道志村の特産品は、道志みち沿いの「道の駅どうし」で購入することができ、道の駅どうしでは、無料の電気自動車充電スタンドの提供や、観光情報の発信も行っています。
道志村観光 キャンプ場、的様の滝[web]
道志川温泉紅椿の湯[web]
道志の湯[web]
道の駅どうし[web]
アクセス:車 中央自動車道都留(つる)ICから約30分 中央自動車道相模湖ICから約50分 圏央道相模原ICから約40分 東名高速御殿場ICから約50分(山中湖経由)
県中央部の二つの湖
山梨県で定番の湖と言えば、富士五湖が有名です。しかし、他にも県内には、夏に涼しく過ごせる湖があります。
富士五湖以外の代表的な湖として、南アルプス市の「伊奈ヶ湖」と、市川三郷町の「四尾連湖」を紹介します。
どちらの湖も、夏場でも比較的静かに過ごせる、知る人ぞ知る穴場のスポットと言えるでしょう。
④伊奈ヶ湖
伊奈ヶ湖は、南アルプス市櫛形町の櫛形山の中腹にある湖です。
標高約900mにたたずむ小さな湖ですが、周辺は「県民の森」として整備され、湖畔を一周できる遊歩道があります。
伊奈ヶ湖は、自然の湖に見えますが、古くからある灌漑用の人造湖とのことで、昔の人々の知恵に思いを馳せながら歩くと、暫くは暑さも時間も忘れるほどです。
また、伊奈ヶ湖は、北伊奈ヶ湖と南伊奈ヶ湖に分かれ、さらに近くに小さな「菖蒲池」もあります。
湖に迫る緑の木々から発する新鮮な空気を吸いながら、それぞれの湖畔を静かに散策すると心が癒されます。
南伊奈ヶ湖と北伊奈ヶ湖の中間には、森の自然体験を楽しむ拠点として「エコパ伊奈ヶ湖」がリニューアルオープンします。
エコパ伊奈ヶ湖は、宿泊施設やカフェ・レストラン、BBQ施設、無料の研修施設などが整備され、様々な角度から大自然を満喫することができます。
もう一つ、湖畔にはミッシェル伊奈ヶ湖というレストランがあり、緑深い森を眺めながらのランチは、都会にはない素敵な食のスポットです。
エコパ伊奈ヶ湖[web]
ミッシェル伊奈ヶ湖[web]
住所:山梨県南アルプス市上市之瀬1760
アクセス:車 中部横断道南アルプスICから約15分 高速バス 新宿‐身延線南アルプス市役所下車 タクシーで約10分
⑤四尾連湖
四尾連湖は、市川三郷町にある自然の湖で、標高850m、周囲1.2㎞、蛭ヶ岳の山頂付近にある小さな湖です。
火山活動によってできた窪地に、雨水と湧水が溜まった陥没湖で、流入する川も流出する川もなく、コバルトブルーの湖面は静かに透き通っています。
四尾連湖は、四つの尾を連ねた竜の神様が住んでいる、という伝説がその名前の由来と言われています。
また、昔から雨乞い信仰の湖としても知られ、ほとんど手つかずの自然が残されていることもあり、どこか神秘的な雰囲気の漂う湖です。
四尾連湖の湖畔は、キャンプ場を管理している水明荘と龍雲荘の私有地なので、駐車場は有料ですが、キャンプだけでなく、貸しボートで遊んだり、釣りをしたり、またバーベキューやお弁当を持ってベンチでのんびり過ごすこともできます。
我が家では、昔から家族で四尾連湖にドライブに行き、釣りやボートに乗ったあと「龍雲荘」でラムネを飲みながら味噌おでんを食べる、というのが夏休み最後の定番の楽しみでした。
最近は、テレビアニメ『ゆるキャン△』でモデル地となったことから、アニメファンの訪問客が急増しているようです。
この『ゆるキャン△(原作者・あfろ)』という作品は、女子高校生が山梨県を中心に静岡県、長野県を訪れ、友人たちとキャンプを楽しむ日常生活を描いた漫画です。
漫画がテレビ化されたこともあり、聖地巡礼ということで、モデル地を訪問する若者も多いそうです。
ゆるキャン△公式サイト[web]
四尾連湖
住所:山梨県西八代郡市川三郷町山家四尾連
アクセス:車 中央自動車道甲府南ICから約50分 中部横断自動車道増保ICから約40分
電車 JR身延線市川大門(いちかわだいもん)駅からタクシー約30分
水明荘[web]
龍雲荘[web]
朝晩の過ごしやすい気温
前回、山梨県の夏でも涼しい場所として、定番の避暑地を紹介しましたが、今回挙げたスポットは、おすすめの穴場の避暑地でした。
冒頭でも触れたように、どこも日中は気温が30℃程度で、朝晩は20℃台前半と非常に過ごしやすく、加えて、自然が手つかずで残っているところも多く、その清らかな水と緑で、体感温度もずいぶんと違うことでしょう。
アクセスは、車が便利ですが、レンタカーを利用する場合は、県東部の県境エリアには、JR大月駅から、また、県中央部の湖にはJR甲府駅から利用すると便利です。
以上、山梨県内の穴場の避暑地でした。