山梨県とミネラルウォーター(湧水)
山梨県は、ミネラルウォーターの生産量で日本一を誇っています(2015年、日本ミネラルウォーター協会調べ)
また日本で初めてミネラルウォーターが発売されたのも、実はここ山梨なんです。
日本初のミネラルウォーターは、1929(昭和4)年、山梨県南巨摩郡身延町下部(しもべ)の湧水を活用し、「日本エビアン」の商品名で、現在の富士ミネラルウォーター株式会社から発売されました。
それでは、一体なぜ山梨県はミネラルウォーターが豊富なのでしょうか。
その理由は、地形の特質にあります。
周囲を山々に囲まれ、県土の80%近くを森林が占めているため、その森林から流れ出る雨水が、長い年月を経て濾過され、ミネラルをたっぷり含んだ伏流水として各地に現れるのです。
こうしたことから、山梨県は、「天然の水がめ」とも言われています。
私は、以前、湧水の美味しい水でコーヒーを淹れたいと、山梨県内の湧水巡りをしたことがありました。
富士山を始め、南アルプス、八ヶ岳など標高の高い山だけでなく、盆地周辺のどの山からも大抵どこからか伏流水が湧き出ていて、地元の人は昔から豊かな湧水の恩恵にあずかっていたようです。
湧水によって多少風味に違いはありますが、どの水もコーヒーやお茶に何とも言えないまろやかさが出て、一段と味わい深くなります。
山梨県は「水道水」も美味しい
しかし、そうはいっても毎回湧水を汲んでくるわけにもいきませんよね。
ところが、山梨は湧水だけでなく水道水も美味しいのです。
どの市町村の水道水も、辿っていくとその水源は、富士山や、南アルプスなど周辺の山々からの伏流水だからかもしれません。
その豊かな自然の恵みから生まれた水道水をブランドとして売り出している市もあります。
左から、「つるの水物語 熊太郎の大好物」(都留市)、「地下の恵み 中央市のおいしい命水」(中央市)、「甲斐のうまい水 龍王源水」(甲斐市)、「甲府の水」(甲府市)です。
以下、それぞれの水を簡単に比較してみました。
各水道水の比較
つるの水 熊太郎の大好物(都留市)
平成の名水百選に選ばれた、十日市場・夏狩湧水群の中の、「熊太郎水源」から湧き出た原水です。
バナジウムたっぷりの富士山湧水の一つとのことで、まろみがあり、喉越しの良いとても飲みやすい水です。
熊太郎とは、水源近くにある、神社にまつわる説話の登場人物だそうです。
ナトリウム0.87mg、カルシウム1.20mg、カリウム0.16mg、マグネシウム0.56mg、バナジウム40μg/L、硬度 5.4mg/L
つるの水 熊太郎の大好物[web]
お問い合わせ
都留市上下水道課 0554-43-1111
1箱(500ml、24本入り)2640円 送料別途
販売場所 都留市上下水道局、都留市役所、都留文科大学、戸沢の森和みの里など
地下の恵み中央市のおいしい命水(中央市)
中央市は、甲府盆地の中央に位置し、近くに高い山はありませんが、地下水の水質が良く、水量も豊富だそうです。
その地下水を採取したものですが、ミネラル分も豊富で、とても飲みやすい水です。
カルシウム3.74mg、マグネシウム0.71mg、カリウム0.14mg、硬度 約120mg/L
地下の恵み中央市のおいしい命水[web]
お問い合わせ
中央市水道課 055-274-8554
1箱(490ml、24本入り)2160円
販売場所 道の駅とよとみ、農産物直売所た・から、シルクふれんどりぃ
甲斐のうまい水龍王源水(甲斐市)
甲斐のうまい水龍王源水は、南アルプスに源流を発する、釜無川近くの水源の地下100mの深井戸から汲み上げた水です。
この水は、釜無川の伏流水が、20年ほど地下を流動するときに、地中のミネラルが豊富に溶け込んでいるそうです。
カルシウム1.98mg、マグネシウム0.34mg、カリウム0.24mg、硬度 64mg/L
甲斐のうまい水龍王源水[web]
お問い合わせ
甲斐市水道事務所 055-276-0734
1箱(490ml、24本入り)1920円 送料別途
販売場所 甲斐市水道事務所、JA農産物直売所いーなとうぶ
甲府の水(甲府市)
平成の名水百選に選ばれた、昇仙峡(しょうせんきょう)の表流水を原水とした水道水を、熱処理し、ボトルに入れたボトルドウォーターです。
甲府の水は、その味やデザイン性など総合的な品質が評価され、2018年のモンドセレクション金賞を受賞しました。
甲府の水[web]
お問い合わせ
甲府市上下水道サービスセンター 055-228-3311
1箱(490ml、24本入り)1920円 送料別途
販売場所 甲府市上下水道局、甲府市役所1階コンビニエンスストア
おすすめの「水道水」
単なる水道水と侮ることなかれ、どの水も市販のミネラルウォーターと飲み比べても決してひけを取りません。
あるアンケート調査によれば、国産ミネラルウォーターや外国産ミネラルウォーターと、水道水のラベルを隠して飲み比べをし、約半数の人が、この水道水の方が美味しいと答えているほどです。
我が家でも、ミネラルウォーターの利き酒ならぬ「利き水」をしてみましたが、やはり市販のミネラルウォーターより美味しいと感じました。
特にこの4市のなかで個人的におすすめなのは、都留市の「つるの水 熊太郎の大好物」です。まろやかな喉越しで一味違いました。
あとは、「地下の恵み中央市のおいしい命水」もすっきりとした味わいで飲みやすかったです。
湧水がたくさんある北杜市や忍野村などでは、大手のミネラルウォーターの会社が水の販売をしていますので、市で売り出すことはないようですが、いずれにしても山梨県内、大抵どこの水道水も美味しいと思います。
水道水をそのまま飲んでも美味しいというのは、自然の豊かな山梨の誇れることの一つです。
この良質な水資源を、いつまでも大切にしたいと、山梨県では、現在、森林の整備や、水質環境の保全に積極的に取り組む「育水(いくすい)」という考え方を打ち出しているそうです。
山梨県庁、森林環境総務課の方にお話を伺ったところ、山梨の豊富な水資源を全国や海外へPRしていることや、その保全のための様々な取り組みについて丁寧にお話してくださいました。